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ガンファイターの最後のstanleyk2001のレビュー・感想・評価

ガンファイターの最後(1969年製作の映画)
3.2
『ガンファイターの最後』(Death of a Gunfighter)1969

アラン・スミシー監督デビュー作というのは冗談だけど。元々ロバート・トッテン監督で撮影を開始したが主演のリチャード・ウィドマークと衝突してトッテン監督が降板。ドン・シーゲルが後を引き継いで完成させたが「映画の大半はトッテンが撮影したから」と監督としてクレジットに乗ることを拒否。そこで映画会社がアル・スミスという架空の名前を監督にしようとしたらなんと実在したのでアラン・スミシーという名前にした。

その後製作過程でトラブルがあって監督が名前を出すことを拒否した場合は「アラン・スミシー監督作品」が生まれることになったそうな。

閑話休題。

さてこの作品はというと、確かに揉める要素はあるなと思われる。何かというと暴力でカタをつける主人公。「街の近代化の為には保安官は邪魔だ」というよく分からない理由で保安官を辞めさせたい街の有力者達。

どちらにも全く共感できない脚本。フロンティアの消失を描きたいわけでもなさそうだ。

かつての弟子であった郡保安官も出てくるが法的根拠もなく主人公に、退職を促し鉄拳を喰らう。

この映画で図らずも現れたのはマチズモの有害さだ。法律による支配が確立していない西部劇の宿命だ。力による支配を倒そうと別の暴力が立ちはだかる。虚しい暴力の連鎖。

そこまで徹底的に描いていたら傑作になってたかも。
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