あなぐらむ

甘い秘密のあなぐらむのレビュー・感想・評価

甘い秘密(1971年製作の映画)
4.0
小沢栄太郎(インテリモード)の老いらくの恋の相手がなんと、美貌炸裂しまくる佐藤友美!美人はこう撮れ!という、女性映画の名匠によるこれでもかのアップと少しアイレベルより上から捉えたショットだけで成立してしまう魅惑の80分。

新藤兼人脚本は男を振り回しまくる女に、無意識の男の「我と束縛」を照射すていく。佐藤友美は小松方正に手込めにされてから性の旅人となり、北海道の寒村から作家の小沢栄太郎を訪ね上京、伊丹十三、細川俊之と次々と(インテリ系と)関係を持つファムファタルを、ベッドシーンもいとわず演じ輝くばかりの魅力。はぁ美人。こんな女に掴まったら最後だ。
小沢栄太郎の娘に若い新藤恵美。初井言栄が怖い。

中平に「月曜日のユカ」があるなら吉村には本作がある、という破天荒ではちゃめちゃな(それが可愛い)ヒロイン像は、佐藤友美が演じるとあら不思議、品と色香溢れる「女性」になる。女優の撮り方のとても良い勉強になるので、そのスジは観るべき。ファッションも素敵。お着物もgood。

ロケ美術では素敵な階段が捉えられている。佐藤友美が宿泊するホテルのちょっと曲線になった階段。ここは逢引の場所への道筋の象徴でもある。
この作品はとにかく目線少し上の画角が多いのだが、それが効果的に映画的なパースペクティブを醸し出している。映画に誘われる瞬間。
音楽は池野成。軽快なボサノバがどっかで聞いた感じだなと思ったら「いそぎんちゃく」シリーズもこの人だ!大映作品でお馴染みの作曲家。