同監督の『友だちのうちはどこ?』で撮影されたイランの小村が大地震でめちゃくちゃになってた……。
映画上いちおう脚本はあるものの、内容的にはドキュメンタリーに近く、被災者の安否確認と現地の報道を兼ねて映像化したようなロードムービーでした。
ところどころ登場人物によるセリフで「本当は、この家はわしの家じゃなく、映画の中での家なんだよ」などと、いかにもキアロスタミ監督らしいメタ的な発言もかいま見られます笑
地震による被害は言語に絶するほど悲惨なものですが、キアロスタミ監督が伝えたかったことは多分、悲惨さだけではないんでしょう。
日本でもそうでしたが、災害に見舞われた時の人々のたくましさにはいつも驚かされます。イランの人々もまたしかりで、降りかかる災難に屈するばかりでなく、強く抗う姿がとても感銘的でした。
震災は日本人にとって切り離せないものだけに、様々な意味で他人事とは思えません。災害に国境はないのだと改めて実感します。
ラストは「まだまだ人生半ばだよ」と言わんばかりの印象的なワンショット。
家を失っても、親族を亡くしても、いやがおうでも人生はつづいて行くのですね。