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そして人生はつづくのQvQのレビュー・感想・評価

そして人生はつづく(1992年製作の映画)
3.8
そして、人生は続く。そういうことか。

自然災害はもうどうしようもない。人間は本当に無力で、生き残るか死ぬかも運でしかなく抗う術もない。ほとんど信仰心を持たない人間だから、神の意思と思って納得できるなどということもない。だとしたら、もし自分が災害にあって運良く生き残った時に、たくさんの身内や友達の死とか壊れた家や生活を前にしてどうやってその先の明日を生きていくのか。

自分が生きていくということに精一杯で悲しみに暮れることも出来ないような状況に置かれることを想像してみる。悲しみや怒りや後悔や嘆き、それさえも感じることが出来なくなるのが災害に遭うということなのかもしれない。この映画でも人々はほぼ淡々と瓦礫をどけながら、洗濯だったり復旧作業だったり、いま自分の目の前にあることに向かっている。それしか出来ないってことなのかもしれない。それは観ていて辛いことでもあるけど、生き残った人間が生きていく術でもあるからそうなることは悪いことではないように思える。だって生き残った人は生きていかなければならないから。

日本も災害の多い国だ。私の生きてる間だけでも、どれだけの人が自然災害に見舞われてきたのか。それをブラウン管越しにではあるけれど目にしてきて、それでも残された人の人生は続くということに想いを馳せざるを得ない。もちろん亡くなった人の絶たれた人生にも思うところはあるけど、生き残るってこともそれはそれで本当に大変なことなんだろうな、と思いました。
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