シートン

そして人生はつづくのシートンのレビュー・感想・評価

そして人生はつづく(1992年製作の映画)
4.0
筋らしい筋のないこと。地震という巨大災害に苦しめられていること。山岳の高地の自然の狭間で、人々が暮らしていること。それを見て、きわめて日本的なものを感じ、とても親近感を抱いた。日本的と思われていることは単に非西欧的ということでしかないのかもしれない。

人々は大地震に見舞われようと、結婚式を挙げるし、サッカーの試合も観る。住居を破壊され、家族や知人を失っても、生存している者は在ってしまう、残されてしまう。「そして人生はつづく」というのは良い題だが、原題のニュアンスは少し違う。原題(ペルシア語)直訳の英題は「Life, and Nothing More…」。人生がある、生命がある、それ以外には何も・・・。その無常さ。しかし、それ以外には何を望む必要もないのだ、とも読める。その希望的、楽天的な生を肯定すること。

キアロスタミのほかの映画も観てみたいと思った。
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