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そして人生はつづくのyzのレビュー・感想・評価

そして人生はつづく(1992年製作の映画)
4.4
映画という嘘や撮ることの意味に自覚的な作品はやはり良い。
ただ全く持って悪い意味ではないが構造が複雑ではある。監督親子が訪れたのは事実。しかしこの作品ではそれを別の人が演じている。ただ被災の様子これもまた事実。では登場する人物たちはどこまでコントロール下にあるのだろう。それが全く掴めない。

しかし大変な現実を収めたいという思いと、撮ること・語らせることの重たさの葛藤の結果なのかなと想像した。また、それは悪いことじゃなくて逆に映画の為すべきことかもしれないと考えた。スクリーンに映る嘘は現実からしか生まれない。そして、実際に起きた悲劇に対して、嘘(本作では真偽不明)の映像を通して現実を知ること、思いを馳せることが出来る。

撮影がシンプルに凄くて、特に車の撮り方が印象に残る。
車窓の風景を捉えて順行→「さっきの店でジュース」でそのままバック→ないって言われて順行に戻る。2回目のバックは車内を撮ってから車窓に繋ぐ→店側から撮るという序盤が妙に好き。そしてロングショットが素晴らしかった。
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