映画を見る猫

そして人生はつづくの映画を見る猫のレビュー・感想・評価

そして人生はつづく(1992年製作の映画)
3.8
キアロスタミ再見備忘録⑥
「映画がどんな芸術か知らないが、年寄りをもっと年寄りにみせるのが芸術かね。年寄りをもっと若くきれいにみせるのが芸術ってものじゃないのかね」
キアロスタミの代表作『友だちのうちは、どこ?』に出演した老人の台詞に、この映画の真意が込められている。
「本当のことを言うとな、ここもわしの家じゃないんだよ。この映画の中の家なんだ。映画の人達が、わしの家だと決めたんだよ。本当のわしの家は、地震で壊れてしまったんだ」
一体、どこまでが本当なの?そんな観客の疑問を逆手なとるように、映される風景、人々、その言葉の小さな断片に宿る真実味。そこにあるのは、地震があったという事実、それから彼らの人生はまだ続いているという事実。だからそう、「映画だって嘘ばっかりじゃないんだ」