三隅炎雄

ニューヨークの怪人の三隅炎雄のネタバレレビュー・内容・結末

ニューヨークの怪人(1958年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

フランケンシュタイン物の一種で、これはちょっと凄い映画。
父と息子二人の科学者一家を主人公とした悲劇的なファミリー・ドラマで、早逝した次男坊の天才を愛する父親が、弟に劣等感を抱き父に認められたい気持ちの長男坊に働きかけ利用して、脳だけ残った次男坊を人造人間として復活させる。元は博愛主義者で平和主義者であった人造人間だが,自らの姿に絶望し、父への復讐とおのれ自身を否定するため、敢えて優生思想を身にまとって殺戮を始める。怪人は我々の意識の底を移動するように海の中を歩き、殺戮の舞台を国連のイザヤ・ウォール前に定める。『海獣ビヒモス』と並ぶローリー文句無しの硬派傑作。耳にこびりつく無調のピアノ音楽が物語に抽象的奥行きを付け加えた。

原案は『怪物團/フリークス』『バッファロー大隊』『リバティ・バランスを射った男』等の脚本家ウィリス・ゴールドベック。ルノワール『大いなる幻影』の美術監督がアメリカに渡って、トッド・ブラウニングやジョン・フォードの映画の脚本家原案でこのような異様なSF映画を撮るというのが映画史の面白いところだ。
三隅炎雄

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