三隅炎雄

万年太郎と姐御社員の三隅炎雄のレビュー・感想・評価

万年太郎と姐御社員(1961年製作の映画)
3.5
高倉健の太郎シリーズ4作目(最終作)。源氏鶏太原作に戻って、主人公は万年[胸毛]太郎に。舞台は北海道、月形龍之介ゲストで、西部劇+水戸黄門、更に更に健さん『森と湖のまつり』がからむ。いきなり、あなたもアイヌでしょと言われる。

いつもの派閥抗争があって、健さん、女子社員の星輝美に喧嘩は絶対しないと約束したけれど案の定手が出てしまって、決まり通り星の子分になる。男だ女だがまったくない、約束は約束、健さんあっさり子分になる。子供のようにまっすぐで胸がすく。それが不自然でない。自由の風が吹く。題名通りの快男児。
アイヌの娘を演じているのがこれまでのヒロイン経験者山東昭子なのだけれど、彼女の扱いをはじめアイヌの挿話がどうも半端というか不可解で、当初はもう少し違う展開だった気がしないでもない。列車で山東が健さんのバッグをじっと見つめる意味ありげなカットは何だったのだろう。小屋での再会は山東のために無理に作って失敗したようにも見える。そこが残念。あの後またきっと何かあるだろうと思った。

この映画の宝はなにより姐御ヒロイン星輝美。生き生きとした彼女の存在で、まずは清々しいプログラム・ピクチャーに仕上がっている。ああ、健さんの素晴らしさは今更言うまでもない。
三隅炎雄

三隅炎雄