唯

ロリータの唯のレビュー・感想・評価

ロリータ(1962年製作の映画)
3.5
問題の根本解決をすべきなのに、目の前のストレスからその場しのぎ的に逃げることばかりを優先してしまう哀れな我ら。

そりゃあこんなに酷い仕打ちを受けたら、妻・シャーロットの錯乱も当たり前だよね。
再婚相手が娘に手を出すのは極端な例だが、母とは娘の若さに絶対的に嫉妬するものなのかもしれない。

若い女に言い寄られてまんざらでもないのはわかるが、にしたって気持ち悪い。
この胸糞悪い演技が上手いんだよなあーー!
妻の前で拗ねるというか狸寝入りするのとか、いくつになっても子供だな、、と溜め息。
眠っているロリータのベッドに忍び込もうとする姿なんか、暗闇でドッキリを仕掛けるワッキーみたいで鳥肌レベルに気持ちが悪い。

妻が死んでも何の悲しみもなくロリータのことばかり考えている薄情さ。
最初からロリータ目当てなら、もっと正面からぶつかれば良いものの、その母親を利用するという考えがとにかく浅はか過ぎる。

中年親父の標的となるロリータだが、屈託のない表情や笑い方がひたすらに可愛い。
しかし、ハンバートは、好奇心旺盛な年頃で自分の世界を広げて行こうとする最中にあるロリータのことがとにかく心配でたまらない。
彼女の人生よりも自分の元から離れないかに気を揉むばかり。
歳が離れているが故にとことん彼女に尽くすが、その見返りが返ってこないことで更に不安を募らせて余計に束縛する悪循環。
それをさらりとかわして行くロリータの天真爛漫な悪女っぷり。

「随分と騙してきたけど、物語ってそういうものよ」と、二十歳前後の女が吐き捨てるのだものなあ。
物凄く幼い少女にもとんでもなく大人びた女性にも映るロリータだが、やはり女子は早熟。
歳の差恋愛において、基本的におじさんは女子に太刀打ちできないことを早く自覚すべき。
唯