ハードボイルドでかっこいい渡瀬恒彦を見れるのはファンとしては嬉しいけれど、壮大だけど荒唐無稽な設定や大作なのに随所に漂うチープな感覚が作品の格をだいぶ落として残念な作品に。そして出てくる役者が豪華なメンツがゲスト扱いで、大半は山西道広や郷えい治(このあと役者業から身を引いて妻のちあきなおみのサポートに専念する)、片桐竜次とセントラルアーツ作品常連の役者ばかりなのも作品をスカスカにしている原因なのかも。あと要所要所に出てくる謎の編集(伏線のような場面なのにその後全く登場しなかったり、突然省略をしたりなど)はなんなんだ。
カーアクションは結構気合いが入っているけれど、中盤に一番盛り上がりそうなカーアクションを持ってきてしまったためそのあとのテンションが低くなってしまっている。ラストの雪上での大アクションはよく頑張ってるのはわかるけれど、人がバタバタ死んでいく演出のせいかB級テイストが匂ってくる。そしてラストのダサい決闘シーンに悶絶。
謎めいたヒロイン浅野温子は魅力的だけれど、都合よく主人公の前に何度も登場してくるのでちょっと萎える。そして実は重要なキーマンである彼女を後半一切出さないので「あれ?」という気分にさせる。
前半は殺人の冤罪をかけられた渡瀬恒彦をめぐる『逃亡者』のようなドラマになるのかと思いきや、後半はまさかの『ゴールデンカムイ』。アイヌ服を着た登場人物もちゃんと出てきます。
ラストに流れる歌が良いので今までのこともちょっと許せる。