とり

化石の荒野のとりのレビュー・感想・評価

化石の荒野(1982年製作の映画)
3.8
昭和の角川全盛期の頃の邦画はなんだかよくわからない熱意でいっぱい。
いわゆるヒトモノカネを全力で投入してごり押すスタイル。戦後の邦画の最後の輝き。
このあたりを境にハリウッドとの差があからさまになったように思います。

ハードボイルドで劇画タッチな作風に渡瀬恒彦がよくマッチしてます。ちょっぴり甘い雰囲気の残る渡瀬が陰謀に巻き込まれ日本各地をハードに追いつ追われつ、男のロマンでむせ返る。
この時代のかっこよさ!男も女もかくあるべしというストレートな表現がこそばゆいけど、本当に素敵です。酒、煙草、電話、乗り物、看板など当時のアイテムも印象深い。電話ボックスのシーンもベタでいいですね。素朴で真っ直ぐな時代だったんだろうな。

アクションは信じられないくらい無茶苦茶やってます。大都会や西部警察みたい。サングラスをかけた渡瀬が渡哲也になってたのが微笑ましい。
とにかく車!大量に投入して壊しまくる。公道を走りまくりぶつけまくり。
アホかと思うほどの銃乱射。人死にまくり。ここ日本ですよね…という心配をよそにやりたい放題。
渡瀬さんご本人が危険なスタントをこなしてそうなシーンもあって映画制作にかける熱意が伝わってきます。紛うことなき体育会系。

ハイテンションなクライマックスからのしっとりエンディング。渡瀬恒彦の背中。カタルシスのかたまり。
全体の流れはあまりないんだけど、とにかく気合と熱意に引っ張られて最後まで見せるエネルギーが満ち溢れていて、時代を反映してるいい映画です。

*期間限定でYouTube公式無料公開中です*
とり

とり