おるかろん

化石の荒野のおるかろんのレビュー・感想・評価

化石の荒野(1982年製作の映画)
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意外に良かったと思っている俺ガイル…(・・;)


失われた金塊の行方と自らの出自を知る事になる漢の物語!

割と散々な興行成績だったそうですが、その前知識のせいか最後まで楽しく見れました。

そう!楽しかったんです!

殺人の濡れ衣を着せられた刑事 渡瀬恒彦。(この刑事設定早々にドーデモよくなる)

彼を嵌めた悪党 郷鍈治は、山登りが御趣味の大物政治家の息子 夏八木勲を尾行しろと要求。(指名手配犯にしといてそりゃないだろ)

ガチメな登山をするも勲に尾行が速攻バレて返り討ちに。(マジ速攻バレてますw)

結果、何かのスイッチが入った恒彦は警察の追跡もナンノソノ。自分が何に巻き込まれているのかを、恒彦の親友で新聞記者の川津祐介の協力のもと、ハードに、そしてボイルドに調査し始めます。(何故かキバ男爵も命懸けで助けてくれます)(命懸けなのに恒彦もキバ男爵もメッチャ余裕かましてます)

確かに冒頭は若干キツイものを感じましたが、この恒×キバによるカーチェイスシーン辺りからね。ここの世界観とゆーか空気感とゆーか。この映画が言いたい事が判ってきて、気がついたら笑顔になってましたよ気持ち悪い事にw

そっからはもう全てが染み込む染み込む!

山岳での銃撃戦からのブルースブラザーズもかくやと言わんばかりのパトカークラッシュからの銃撃戦からのソードフィッシュもかくやと言わんばかりのヘリによる逃走車宙吊りからの縄ばしご脱出からの銃撃戦からのフローズンブレイクもかくやと言わんばかりのロープウェイ脱出からの銃撃戦からの銃撃戦からの銃撃…

とにかく楽しいんです!やりたい事がイチイチ伝わってくるんです!「俺が考えたカッコいい」が確かにそこにはあったんです!

岩場で跳弾の音なんて聞いた日にゃアータ!「判ってるねぇ!」てなもんですよ!

かと思えばアイマアイマに差し込まれるTHE浅野温子!

アータ絶対カタギじゃないでしょ感ムンムンで、閑話休題にしてはハード!そしてボイルド!

やがて明らかになるミツドモエの金塊争奪戦と恒彦の出生の秘密!

剣山や駒ヶ岳など日本の名山を巡りつつミツドモエのうち、二つの勢力と対決した後、クライマックスの舞台となる大雪山に於いて、満を持して登場する第三の勢力!

ここですよ!

私が何故!この!散々な評価の!KADOKAWA的にも歴代最下位の!残念な仕上がりの!黒歴史の!クソミソの!ボンクラ映画を!こんなにも好意的に受け止め、楽しいと感じていたのか!それが判った瞬間がこのシーン!

…キュラキュラとゆーキャタピラの音と共に現れる雪上車。
バラバラとゆーローター音と共に現れるヘリコプター。
ワラワラと現れる雪山仕様の特殊部隊。
その群れを割ってズズイ!と現れる第三勢力のボス!

判ります?この構図!

そう!「仮面ライダー」に代表される、僕らの変身ヒーロー物の構図そのものなんですよ!

「そーゆー事かっ!」と膝を打たずにはいられませんでしたね!

孤独な一匹狼が、巨大な陰謀に巻き込まれ、主演俳優が、身体を張ったスタント撮影して、戦いの最中、親友が死に、ヒロインとの恋愛も発展せず、ラスボスが、あろーことか実の父親っ!

あったでしょ!そーゆープロット!

「快傑ズバット」とか!「変身忍者嵐」とかで!あったでしょ!!!

特殊部隊の服装なんてアータ!白黒反転したら完ッ全ッにGOD戦闘工作員でしたよ!そのうち「ジィーッ!」とか言い出すんじゃないかと思ってヒヤヒヤしましたよ!

…もう判りましたよね?これはね。このZ級の映画はね。僕ら漢の子の為の「変身しない変身ヒーロー物」だったんですよ!

そりゃ楽しいに決まってんじゃん!アクション、小道具、絵面、台詞、音楽、全部キメキメ!教科書かっつーのw

え?ヒロインの描写が薄い?

当たり前ですよ!僕ら漢の子は永遠のチェリーボーイですよ?女の事なんて判る訳ないじゃあないですか!判ってたまるかってんだ!愚問ッ!あんなもんファンタジーファンタジーッ!!!カンラカラカラw

とゆー訳で。

これ実は案外掘り出しモンなんじゃあないでしょうか?

これでもし。変身でもした日にゃアータ。トンデモない作品に化けますよ?アータ。

どーすかKADOKAWAさん。リメイク。コンプラバリバリの令和のこの時代に。リメイク。変身要素盛り込んで。どーすかKADOKAWAさん!どおおおおおおおすかっっっ!!!(唾)

               おわり。


蛇足:これはホントに蛇足なんですがもう一個だけ!どーしても言っておきたい事があるんだ!

それは恒彦のキャラ設定!

ラストシーン。オホーツクの海を見て彼は泣きそうな顔になるんですよ。

それまでどんな危険な目に遭おうともどんな危険な奴と対峙しようともヘリで車ごと宙吊りにされようともロープウェイから宙吊りで降りようとも、THE浅野温子を前にした時でさえ!眉ひとつ動かさない、ニヒルな表情を1ミリも崩さない恒彦だったのに、あの北海道の荒波が打ちつける浜辺に辿り着いた時、彼は初めて弱々しい表情になったんですよ!

劇中明らかにされますが、恒彦は望んで生まれてきた子供じゃあなかったんですね。

妊娠中の母親は、産みたくないが為に真冬のオホーツク海に浸かってたってんだから、どんだけ「いらん子」やねんて話ですよ!

更にそれがもとで恒彦を産んだ後亡くなったってんだから恒彦にとっちゃ業ですよ業!産まれた時から十字架背負ってんすよ!てゆーかそんな過去を自分の孫に教えんなよじーちゃん!

まぁそんなこんなでニヒルで一匹狼でハードでボイルドな人生を歩まざるを得なかったってのが本編見ててすごく伝わってきて、そーゆートコも楽しい一因になっておった訳ですがラストですよ!

この、極寒の、荒れ狂う波を見て、あの表情!

恒彦の胸に一体何が去来したのか!

このシーンを見た事で、それまで単にワクドキしてた漢の子ゴコロが一気に大人の、男の、アレの、ナニを、アレする心境にガラッと変わった訳なんです!そして思ったんです!「決まった!」と。

これやっぱ掘り出しモンですよ。

絶対リメイクすべきですよKADOKAWAさん。

リテラシーバリバリの令和のこの時代に。

今の俳優さん使って。西島秀俊とかっ!

で変身ヒーロー物!絶対!

え?何に変身するかって?

そりゃアータ!恒彦に変身するに決まってるでしょーがっ!!!

秀俊が変身するんですよっ!恒彦にっ!!!

恒彦に変身して!陰謀企む悪者をコトゴトクやっつけて!そんでオホーツクの海で泣きそうな顔になるんですよどおおおおおおああうおえい¥&@#%ですかKADOKAWAさんっっっ!!!(ウラゴエ)
               おわり。