あなぐらむ

地平線がぎらぎらっのあなぐらむのレビュー・感想・評価

地平線がぎらぎらっ(1961年製作の映画)
4.6
ジェリー藤尾の破天荒キャラが最高な脱走劇。
地平線がぎらぎら輝く地にあるダイヤを求め、各々仇名で呼び合う脱獄囚達が駆け抜ける。
恐ろしく切れ味鋭い編集と移動撮影、随所に挿入されるジェリーの歌声がとても心地よく、井上梅次映画のよう。

脱獄囚達では眼鏡キャラ(仇名は教授!)の天知茂のほか、スカーフェイスなカポネこと多々良純がいい味。ジェリーはムショでヤカンとたらいをドラムに見立てたり、突然祭に乱入して太鼓のパフォーマンスをしたり、レイプしようとした娘に惚れられたりと大活躍! 万里昌代さんも出演。

刑務所脱獄ものが面白いのは階級社会が戯画化される事と、脱獄サスペンスが必然になるからだろう。後半の逃亡劇でも、歌と踊りと各キャラの描写がぶれぬ一貫した姿勢を見せる土居通芳のキリリとした演出は、最後のあの大地で結実する。観客には最初からオチが想像できてるのもいい。