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ロベルトは今夜のBONのレビュー・感想・評価

ロベルトは今夜(1977年製作の映画)
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去年開催された奇想天外映画祭vol.2で見逃してしまったスキャンダラスで甘美な怪作。

背徳の作家や哲学者として知られるクロソフスキーの同名作と、姉妹作「ナントの勅令破棄」の原作を、クロソフスキー自身とその妻が演じるプライベートフィルム。

カルヴァン教徒のロベルトは戦時中の弾劾を免れたカノン法の老教授オクターヴと結婚するが、妻のロベルトから戒律を犯し原罪を引き出すために、彼女の身体を客人に差し出し変態プレイに従わせる。やがて背徳が快感となってしまうロベルトはオクターヴを毒殺しようとする…という物語。

オクターヴの死後、夫の視線を感じることはすなわち神の庇護にあり、ロベルトはまんまとオクターヴの試み通りになってしまったのか?倫理感の浸食によって宗教の信仰を逆説的に導き出す変態性は分かるとしても、自分自身の命を失ってしまえばもうその結果を見ることができないので皮肉を感じる。死が彼にとって人生の最高潮のものだったのか?

ザラついたような深い色味を持った高貴な映像の中、手を舐めまくる変態プレイなど、全体を通してこいつらはいったい何をやっているんだろう…という滑稽さがあり見ごたえがあった。

私の大好きなジュリエット・ベルトが出演していたのと、ダニエル・シュミットも出演していました。クロソフスキーはジョルジュ・バタイユとも仲が良いらしく、この時代の横の親交には驚く。
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