「ビジャーはどうして太陽系の第三惑星(地球)を目指しているのだ?」
「クリエイターを探すためだ」
「クリエイターを探してどうする」
「彼と合体する、ビジャーとクリエイターが一つになる」
「クリエイターとはなんだ」
「クリエイターはビジャーを創った者だ」
「ビジャーとはなんだ」
「ビジャーはクリエイターを探す者だ」
翌年にはTVシリーズの放送が修了する1968年、映画化の話が持ち上がったものの実現せず、1976年再び映画化の話がもちあがったのですがやはり立ち消えてしまいました。
この映画は三船敏郎氏がクリンゴン人としてキャスティングされていたようです。
1976年といえばスペースシャトル計画の初号機に『エンタープライズ』の名前がつけられた年でした。
この立ち消えた企画に火を着けたのは映画『スターウォーズ』の大ヒットでしたが、大人気のテレビシリーズの映画化は困難を極めることになります、出来上がった原稿にパラマウントの重役、原作者、テレビシリーズの監督・・・思い入れのある多くの者が口を出し脚本は大混乱状態になってしまいます。それでもロバート・ワイズ監督は企画をまとめ撮影にとりかかると、今度はウィリアム・シャトナー(カーク船長)とレナード・ニモイ(スポック)が毎晩意見を言いに来るのです。二人の契約には映画に意見が言える項目があったのです。
ワイズ監督の毎日の困り顔を見ていたスタッフは出来上がってきた重厚な内容の映画に驚いたそうです。
突然現れた巨大な雲界は地球到達まであと3日の速度で銀河系を進んできます。攻撃的なクリンゴン艦や調査を試みたステーション・イプシロン9は雲界の攻撃を受け消滅してしまいます。
カーク提督は5年間の調査飛行を終え大改装を終えようとしていたエンタープライズの指揮を再び執ることになります。
艦長だったデッカーを副艦長に据え、デルタ星人のアイリア中尉をナビゲーターに迎え、科学主任としてスポックが加わり雲界への接触がはじまります。
雲界はアイリア中尉を拐うとアイリア中尉を正確にコピーしたアンドロイドをエンタープライズに送り込んできます。
アンドロイドは「ビジャー」に送られてきたと語りはじめます。
スポックは一人、雲界の内部に入り込みビジャーの正体は「生きた宇宙船」であることを突き止めます。ビジャーはエンタープライズも同じ生きた宇宙船で、人間は寄生する「炭素ユニット」と思っているのです。
ビジャーは全宇宙の知識を持っているのですが、感情がないために満たされず探し続けているのです・・・自分の存在意味をクリエイターに尋ねたいのです。
ビジャーはクリエイターの応答を妨げている地球上の炭素ユニットを全て破壊する準備を始めます。
目前の地球人への攻撃を止めるためカークは直接ビジャーに会いクリエイターのことを話すと、はったりをかけ「ビジャー」に会いに行きます。
そこで初めて「ビジャー(V'Ger)」の意外な正体を知ります。そして・・・。
「スターウォーズ」のような戦闘の派手さは微塵もないのですが、『論理的』な展開は「未知との遭遇」のような深く、大きな感動を与えてくれるのですが、リアルタイムでTVの「宇宙大作戦」を観ていたこと以上に、アメリカ航空宇宙局 (NASA) による有人月面着陸を目的としたのアポロ計画のあとの◯◯計画(ネタバレです)による太陽系の外惑星および太陽系外の探査計画を興味深く見ていた世代であるかで感動は大きく変わります。
そういった意味では母国の計画を身近に感じていたアメリカ人とそうではない日本人では、そもそも感動に大きな差が出てしまうかもしれません。
私は宇宙とかUFOとか宇宙人とかに興味津々の時期にその◯◯(航海者)計画を興味津々で見ていたので、ビジャーの正体がわかった瞬間は鳥肌が立つ思いでスクリーンを見つめていました。
デッカー副艦長とアイリア中尉が乗船している意味もやがて分かります。
そんな訳で若い世代にはますます感動が薄く、絶対に私と同じ感動を覚える方はいなでしょう。この映画は私には☆5つの映画です。
初期のDVDは吹替えがなかったためにその昔、ロバート・ワイズ監督のディレクターズ・エディション(特殊効果などを再編集)を購入し直した当時のお宝DVDです。もちろん吹替えスタッフはTVシリーズと同じです。