教授

スーパーマンの教授のレビュー・感想・評価

スーパーマン(1978年製作の映画)
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「スーパーヒーロー映画」というジャンルで言えばまさに「金字塔」的な作品。
本作からが、ひとまず映画の歴史の中でいちジャンルとして確立されたという感じ。

とはいえ、現代では「スーパーヒーロー」を通した「社会」のリアリズムを表象するのが定番な中、本作は「アメコミ」をどう実写化するかに腐心している時期である為、内容的には色々と緩さの方が目立つ。

そこはそもそも論的に、そのヒーローの「元祖」的な存在であるスーパーマン/クラーク・ケント(クリストファー・リーヴ)の存在自体が「理想の体現者」でもあるのでかなりの無理がある。
「正義」や「法」「国家」への懐疑はまったくないので、現代の目から見れば酷く薄っぺらく見えてしまうのは仕方がない、

それ以上に気になるのが実父であるジョー・エル(マーロン・ブランド)が知恵と力を授ける際に「アインシュタインの相対性理論」だの「中国のなんちゃらかんちゃら」など述べているのが「?」となる。

加えて今作のヴィランであるレックス・ルーサー(ジーン・ハックマン)がやたらとクリプトン星のことや、スーパーマンの弱点までを知り尽くすプロセスがあまりに雑過ぎて閉口するし、その後の終盤の展開はカオスを感じるほどに「なんでもあり」になっていく。

まぁ…脈絡のないストーリーラインについては、難点に感じつつも、今作の肝はスーパーマンのルックスと、その超然的な存在感。
ニューヨークよろしくメトロポリスの街並みを「飛ぶ」ことに尽きる。
手放しで高揚するものではないが、それでもウェルメイドなハリウッドSF超大作としての喜びはそれなりにあった。
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