Morohashi

ダブル・ジョパディーのMorohashiのレビュー・感想・評価

ダブル・ジョパディー(1999年製作の映画)
5.0
◯リビーの生き方
リビーはおそらく専業主婦のような人物だったのではないかと思う。外で賢明に働く夫を陰ながら家で支えてきた、縁の下の力持ちと呼ばれるような存在だったのだと思う。
それが突然、夫殺しの容疑をかけられてしまう。

結局彼女は刑に服するわけだが、彼女がこの刑期に耐えることができたのは、復讐だったり、自分の息子に会いたいという思いがあったから。こういう夢や目標があればがんばれるということを教えてくれる好例だと思う。
とはいえ、仮出所したらすぐに行動を起こす彼女。その彼女に対して「大人しく待て」とまわりは言う。
でも、待ち続けてもどうにもならないことだってある。自分のプライドを傷つけられたならなおさら。
さらに暗に「復讐の連鎖を断ち切れ」と、リビーに復讐を断念することを進言する人もいる。これはしばしば言われることではあるけれど、これは綺麗事なのだろうか?
結局彼女にとっての正義の鉄槌を下したわけだが、その先に何があるのか、息子とどういう形で人生を過ごしていくのだろうか、と気になった。
あと、リビーはスパイ並みに明晰な頭脳の持ち主。


◯夫(ニック)の生き方
映画だから仕方ないが、ニックのことは意図的に貶めて描いている。でも、ここまでひどいやつだったら、もっと早く気づくだろう、とも思う。笑
彼は口先だけのことをいろいろと語るが、人を生かすも殺すも言葉次第だなと感じた。
金銭欲はときに人を狂わせる
人を金のなる木としか見られない人生も、ある意味悲しいし、一生満たされることはないだろう。
彼が死ぬときに何を思うのか。
資本主義って本当に幸せな精度なのか?
そんなことを考えていた。

あと、信用できないやつはやっぱり最後まで信用できないので、早いところ距離を置いたほうがいいと思った。


◯金と愛情
この映画は、普段から男性にいいようにあしらわれている女性が、男性と対等な立場に立つという映画。タランティーノ監督のデス・プルーフinグラインドハウスととてもよく似た構造をしている。
女性は人間愛、男性は条件付きの愛という、典型的な男女の脳の違いを描いた作品。
その違いを埋めるものがダブル・ジョパディーという法律であり、法律を使って復讐を合法化するという斬新な手口なのが面白い。

面白いのは他にもあって、様々な形で次の場所の手がかりを見つけていくミステリー要素も面白い。

証拠がなければ真実はわからない、と言うが、真実以上に人の心を動かすものがあるかもしれない、と考えさせられた映画だった。
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