イペー

地下水道のイペーのレビュー・感想・評価

地下水道(1956年製作の映画)
4.0
メイズランナー? NO!
ディス イズ メイズクロウラー!

ナチスドイツ占領下のポーランドに起こったワルシャワ蜂起。ドイツ軍に追い詰められたレジスタンスのザドラ中隊が辿る運命。

冒頭から廃墟と化した街。戦争と言っても軍人同士ではなく一方は市民で、ザドラ中隊のメンバーも女性や子供を含む若者が殆どです。
壊滅的な状況に疲労感や焦燥感を滲ませながらも、まだ希望の尻尾を掴まえている雰囲気。楽器を演奏したり、愛を語らったり。

本部からの撤退命令を受け、地下水道に潜ることになるザドラ中隊。
暗い、狭い、汚い。内部はまるで迷路。中隊は散り散りになり、さらに毒ガス攻撃の情報も…。地獄巡りの開始です…。

瘴気が立ち込める暗闇の中、這う様に身を屈めて進む彼らを、カメラはローアングルで捉え続けます。凄く息苦しい。

彼らの顔や身体に絡みつくのが、泥なのか、汚物なのか、血なのか、モノクロなので判別はできません。それが余計に生々しい。

絶望の上に絶望が重なる状況を、どこか突き放して描いています。こちらが感傷に浸る隙を与えてくれない。
そしてあまりに重苦しいラスト…。

映画が終わっても、決して明るい地上に出られた気はしません。アンジェイ・ワイダ監督が厳しい検閲をかいくぐり、映画を通して訴えたかったもの。真摯に受け止め、しっかりと自分なりに吟味せねばなるまい…。
ハ、ハロウィンを楽しむ余裕なんか、無いんだから‼︎(絶叫)
イペー

イペー