たてぃ

地下水道のたてぃのレビュー・感想・評価

地下水道(1956年製作の映画)
4.4
「彼らの悲壮な最期を見よ」で物語は始まる…

抵抗三部作の二作目。ナチスドイツ相手に市民が立ち上がったワルシャワ蜂起の際のとある部隊の話。

市民が蜂起するも戦力差は歴然でドイツ軍に包囲される。唯一の逃げ場がタイトルにあるとおり「地下水道」。そこへ逃げ込むもそこからがまさに地獄絵図…出口の見えない状況での不安、暗闇、異臭…やっと出口を発見しマンホールを開けるとそこにはドイツ軍がいたり、ドイツ軍のいない出口には爆弾があったり…そして人々のメンタルが蝕まれ…(特に芸術家の変わりようが怖い…)

作品の終盤で主人公二人が眺めた川の対岸。そこには戦争なんてなかったかのようなのどかな風景。地下水道だけでなく、この風景もワイダ監督は訴えたかったようです。「あの川の対岸にはソ連兵がいた。ラジオで蜂起を促したのに彼らはなんの助けもしてくれなかった。」と。本当はその風景にソ連兵も映したかったようですが、当時はソ連支配下の共産主義国家のため不可能。しかしワイダ監督は「観てくれた人は『あそこにスターリンの軍がいたんだ』と分かってくれるはずだ」と。

政府による検閲が厳しかった時代にこの作品を作ったのは本当にすごい…
たてぃ

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