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友情ある説得の一人旅のレビュー・感想・評価

友情ある説得(1956年製作の映画)
4.0
第10回カンヌ国際映画祭パルムドール。
ウィリアム・ワイラー監督作。

南北戦争最中のアメリカを舞台に、クェーカー教徒のジェス一家の日常と葛藤を描く。
クェーカー教徒の生き方が特徴的に描かれている。聖歌が明るく盛大に歌われる他の礼拝集会と違って、クェーカー教徒の集会は静寂に包まれる中、皆一心に聖書を熟読している。音楽は一切禁止されているようで、ジェス(ゲイリー・クーパー)が秘かにオルガンを家に持ち込もうとすると妻エリザは激怒してしまう。更に、暴力に対する拒絶反応は他のキリスト教各派と比べ強い。そのことがきっかけとなり、南軍と生死を賭けて戦う住民との間に対立が生まれてしまうのだ。
信仰と戦争というテーマでは同じくゲイリー・クーパー主演『ヨーク軍曹』があるが、その映画では“命を守るために命を奪う”ことをやむなしとし、次々敵を殺していった(戦時中に製作された作品)。だが戦後製作された本作における、信仰と戦争に対する最終的な結論は違う。自分たち家族の命を守るために敵を殺すことを正当化していない。遭遇した敵に対するジェスの行動に彼の信仰心が表れている。
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