貧しさゆえの卑劣さが、明るく鮮やかな映像の中で見る者を鈍く蝕んでいくような話。階段通りに住む人々に同情するかのような、佗しいFadoがとても美しい。
英語字幕+日本語字幕だったので、ビスタの画面の縁にL字に字幕が入ってしまっていたが、それでも構図が整っている。画面のきわで人物を捉えること、また階段通りという舞台が画面に遠近法的な効果を生み、絵画的な画面が作り上げられていたことで、みていて芸術品を見ているような贅沢な気持ちになった。
貧しくて悲惨な目に遭っても、それがお金の種になったりするのだ。悲惨な目に遭わなければずっと貧しいままだった。