ボーンシリーズは一応トリロジーだったらしく、本作のサブタイトルも“最後通告”。失った記憶を取り戻すためのジェイソンの闘いもここでひとまず落着することに。
個人的にはこの3作目のドラマとアクションのバランスが1番好きかな。
シリーズ名物、その場の機転で場当たり的且つ巧妙に行動するためのギミックは今作でもスマートで、テンポも良く見応え十分。CIA相手に1歩も2歩も先を読む手際の鮮やかさは非常に爽快。今作のアクションも緩急があって、モロッコのニッキー逃走劇やジェイソンと現地の暗殺者との肉弾戦はスリリングでハラハラした。
結局ニッキーは3作とも都合のいいように動かされるちょっとあんまりな役割だったな。ラストの表情は良かったけどね。
そしてパメラを除く、ジェイソンを追う側のCIA指揮官がシリーズ通して3人3様に冷静さを欠く無能っぷりで、部下が気の毒だなと思った。
1、2作目で彼のこれまでの殺人ミッションや素性が少しずつ明らかになり、前作ラストでパメラから告げられた情報がキーとなって今作秘密プロジェクトの真相が判明。
『スプレーマシー』での、パメラを近くのビルから監視しつつ電話で話すというシーンが本作でもう一度、しかも続き物らしく冒頭出で出てくるのではなく、中盤過ぎに差し込まれるという構成に意表を突かれた。
諸外国でのシーンはほとんど現地へ赴きロケーション撮影、あえてハンディーカメラのブレブレで臨場感を演出し、こだわりと迫力のアクションシーンで観客を魅了する3部作。
ボーンの正体やプロジェクトに加わった経緯、黒幕などはそんなに意外性はないのだけど色々と見せ方がうまかったなという印象。
間を空けずに一気に3作観れるくらいには面白い珠玉のスパイアクション作品だった。
残る2作はまた気が向いたら観てみよう。
