ぴよまろ

王立宇宙軍 オネアミスの翼のぴよまろのレビュー・感想・評価

3.7
架空の王国で設立された「王立宇宙軍」を舞台に、その実験は失敗続きであるものの「戦わない軍隊」として、人類初の宇宙飛行を目指す物語。

GAINAX初の映画作品として、主要スタッフには若い時代の山賀博之・庵野秀明・前田真宏・貞本義行ら「DAICON FILM」のメンバーが名を連ねるという、アニメ映画史に名を残す作品。後の「トップをねらえ!」「ふしぎの海のナディア」「エヴァンゲリオン」などの源流があちこちに見て取れます。もちろん物語も素晴らしく、シンプルなストーリーながら、政治・宗教・歴史・機械工学などの要素が無駄なく盛り込まれ、複雑すぎない程度に見応えがあるものとなっています。特に、クライマックスの打ち上げシーンは最高です。ジリジリ動く機械群、狭い室内で必死に作業するスタッフ、そして迫る敵軍との戦闘の中、ようやく宇宙に飛び立つ描写は、今みても緻密すぎる作画もあり、凄まじい熱意を感じました。

作品としても、面白く、質も高いものですが、それ以上に90年代のアニメの源流を見て取れる、歴史的な価値が非常に高い作品です。
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