次男

マラノーチェの次男のレビュー・感想・評価

マラノーチェ(1985年製作の映画)
3.6
荒いワークにヨリヨリのクロースアップ、白黒の世界、強い陰影。加えて、この映画で描かれる同性愛はすごく性の匂いがして、なんだか息が詰まるようだった。

描きたかったテーマに即した感想かどうかわからないけれど、なんだか「街」の存在感を強く感じた。

主人公は小さな食料品店を営んでいる。街は散らかっていて汚くて、人々も裕福さからは遠い感じ。「スモーク」のあのお店みたいに、主人公の店も、街に根付いているように思えて。ジョニーとのことも、主人公が入れ込んで夢中になっていても、そこに運命性というか、彼の人生を大きく変えるような空気はなくて、なんだろ、きっと主人公はずっとこの街にいるんだろうな、というか。彼の眼の前を通り過ぎていく人・もの。店のように、彼も街に根付いていて、なんて、でもそこにどろどろした重い鎖みたいなニュアンスは感じなくて、ああきっと、この街で生きる人ってこういうことなのかな、なんて思った。


あとで調べると、ここから三作を「ポートランド3部作」と呼ぶのね。ポートランドって、ストレンジャーザンパラダイスでも出てきた場所だったかな。ほかにもなんかあった気がする。惹きつける街なのかな。


(2015年見納め映画)
次男

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