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ファイト・クラブのcamusonのレビュー・感想・評価

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)
4.5
ヴァイオレンス映画と呼ばれるものは数多くあれど、
緊張感を演出するため、または、派手なアクションを演出するための
お手軽選択肢としての暴力であることが多いと思われます。

そういう意味で、本作における暴力は一線を画しています。
世の中に対するフラストレーションのはけ口として、
タイマンで裸の拳でただ殴り合う同好会をつくる男たちの話。
殴り殴られることで得られる狂気の悦楽。

骨がぶつかり合う音が鈍く響き、血がしぶきをあげて飛び散るさまは、
暴力というよりは、痛みそのものであり、
エンタメというよりは、狂気そのものです。

自分たちの殴り合いだけに閉じていれば良かったのですが、
もともとは社会に対するフラストレーションが発端であるため、
主人公の意思に反してというか、潜在意識に即してというか、
矛先が社会に向かっていくわけです。

そして終盤に、大きなどんでん返しがしくまれ、
すぐさま冒頭を再生せずにはいられないしくみ。
なるほど~とうなりながら2周目を楽しめます。

ここまで緻密なヴァイオレンス映画も他にないかなと。

見終わった後でデヴィッド・フィンチャーと知って、
なるほど納得でした。
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