このレビューはネタバレを含みます
果たして、この作品に本当の”悪人”はいるのだろうか?
私にはいるとは思えない。
短い間だったけど、ふたりは確かに愛し合っていた。
最後に傷つけることで祐一は光代を解放し、彼女への愛を証明した。
もし、出会う順番が違っていたら……無念でならない。
幸せに寄り添って生きていって欲しかった。
ただ、そう思う反面、単にストックホルム症候群に似たような事象だったんじゃないかとも。
生真面目で男っ気のない自分にコンプレックスを抱いていた光代が、ふいに現れた若い男・祐一に惹かれ彼を離したくないという想いに囚われたのでは?
逃避願望があった彼女は衝動的に彼と逃亡する道を選ぶ。
それは、愛だったのだろうか?
光代のエゴではなかったか?
考えれば考えるほど、いろんな気持ちが出てきて、複雑だけど、とても興味深いし、おもしろかった。
でも、私には光代の気持ちがイマイチわからない……。