tacky

悪人のtackyのレビュー・感想・評価

悪人(2010年製作の映画)
3.8
こんな暗い原作をエンタメにしてしまう、李監督の演出力に脱帽である。

前半の殺人の絡む話と、後半の逃避行もかなり重いのだが、とりあえず映画内で完結を迎えるのでまだ救われるが、
樹木希林が絡む、悪徳商法の話と、加害者家族の人権を無視しまくるマスコミの話は、何の解決も無く、現実社会において現在も同じように続く事と思うと、さすがに重すぎて疲れてしまった。

実は、深津絵里と満島ひかりの二人の女性が、表裏一体であり、良いとか悪いとかでは無く、妻夫木を挟んで、どちらも双子のように同じなんだという事実を描いた所が、素晴らしかった。
どちらもその心の奥に、空虚感と性への焦燥感を抱えているが、それを抑えて生きていて、それは妻夫木も共有しており、お互い惹かれ合うのだ。
どちらが殺されていても、不思議じゃ無かったという事実にゾッとする。

とくに満島ひかりは、途中フェイドアウトでも、最後までその存在感が半端無かった。
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