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悪人のDのレビュー・感想・評価

悪人(2010年製作の映画)
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古いので映画としてはヤバいところが色々あるが、個人的に好み

ぼろぼろになりながらも会いに行かなければならない大切な人が欲しい、誰も馬鹿にしない人間になりたい

情緒がぐちゃぐちゃになり、自分が好きだなあと思う人たちや愛していた人たちのことを考えていた 盲目になっているのではなく、そういうところがある人だとちゃんとわかっているのに、どうしても頭から離れない場面がある 心が言うことを聞かない瞬間がある ずっと囚われたまま元の自分を失い、もう得られない感覚に焦がれている

私が吉田修一を好きなのは、そういった美しい感情を単純化・正当化せず、弱さ故の欲望として負の側面(第三者への影響など)も描ききっているところ そして誰も善人でも悪人でも終わらないところ いつも苦しくなるが受容されている感覚もある そのバランス感覚が素晴らしい
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