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悪人のNo1のレビュー・感想・評価

悪人(2010年製作の映画)
4.0
2024年40作目。

ざっくりと内容知っているから大昔に観たと思いこんでいたが、詳細記憶になかったので観てみるとまさかの初鑑賞だと判明。李監督の代表作なのに。今回選んで良かった。

法的には当然殺した人が犯罪者になるのだが、全貌を知るとユウイチは被害者であるとも感じる。これは世の中で起きている全ての犯罪において、加害者が100%悪い、という世間の当たり前の考えに、違う視点を持たせる作品である。

小言のようなことを述べるが、
ヨシノはいくらマスオにひどい扱いをされてメンタル弱っているからといえ、あの山奥の夜道でユウイチを煽りすぎである。
つまり、ユウイチを侮りすぎている。まさか殺されるとは想像もしていない。
けど、さっきひどい扱いを受けて怒り追いかけてきたヨシノを助けようとするとは、ユウイチもお人好しである。まぁあの状況ではそうなるのが自然かもしれないが、とにかくあそこでヨシノを見捨ててすんなり帰っていれば、ユウイチが加害者になることはなかった。ユウイチもある意味ヨシノを侮っていた。まさか助けの手を差し伸べた自分にあんな酷い脅し文句を吐かれるなんて。
李監督作品は僕好みだが、その理由として人間の醜さを剥き出しに描くところがある。本作には、観ている人が、嫌だなぁと感じるキャラクターが何人も出てくる。自分もそういう人間になっていることがあるし、他人に感じることもある。
周囲の人たちの醜さをしっかり見せることで、コントラストがついて加害者の中の人間らしさが際立つ。

人は、傷つけられたときには敏感に反応しがちだが、傷つけたことには気付いてもいないことが多いように思う。
自分の人生なので自分の感情がもっとも大事なのはそうだと思うが、関わる全ての人の尊厳や存在を否定しないように、いや、直接関わる人だけでなく世の中の全ての人を傷付けない言葉選びが出来る人間になろうと、自然とそんなことを考えていた。

メモ
僕の好きな邦画監督

李相日監督
西川美和監督
中野量太監督

白石和彌監督
中島哲也監督
行定勲監督
月川翔監督

一旦思いつくのはこれくらい。
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