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愛しきソナのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

愛しきソナ(2009年製作の映画)
3.5
ディア・ピョンヤン」の在日コリアン2世(「朝鮮」籍)のヤン・ヨンヒ(梁英姫、1964.11.11生まれ)が、1972年「帰国」事業で北朝鮮に移住した3人の兄たち家族の日常を追ったドキュメンタリー。
原題:Sona, The Other Myself
(2011、 83分)

1972年、ヤン・ヨンヒの3人の兄(当時18歳、16歳、14歳)が「帰国事業」で“地上の楽園”と呼ばれた北朝鮮に渡り、ピョンヤンで暮らすことになった。
当時6歳だったヨンヒは、朝鮮総連の幹部である父と母のもと、大阪の朝鮮学校で民族教育を受けて育つが、やがて違和感を感じ、家を出る。
その後、家族と向き合うことを決意し、帰国。葛藤を抱えながら、家族にカメラを向ける。
第一作目では父を中心に、2作目である本作では北に渡った兄たちとその子どもたちを中心にフォーカスしている。

~在日コリアン~
・ヤン・ヨンヒ:両親とは別に東京に暮らす。
・父アボジ:韓国済州島出身。大阪に暮らす。2004年脳梗塞で倒れる。2009年11月、逝去。
・母オモニ:夫を支え、息子たちに衣類や食料、医薬品などを送り続ける。なお、この時点でヨンヒが聞かされていなかった母の過去は「スープとイデオロギー」で明かされる。

~北朝鮮在住~
①長男コノ:日本にいる時は、ベートーベンとコーヒーが好きだった。
・妻スノク
・息子ウンシン:ピアノが上手。
②次男ヤン・ゴナ
・2番目の妻ジョンスン:ソナの母。ソナが5歳の時病死。
・娘ソナ(1992年生まれ)
・3番目の妻ヘギョン:1999年結婚。
・離婚した最初の妻との子ども(息子)チソンとチホン:ソナの兄たち
③三男ヤン・コンミン

~印象的シーン~
・ソナの登校について行くが、ヨンヒは学校の中は入れない。校門の外からソナの姿を追う。
・ソナの母ヘギョンがギターを片手に弾き語る「おかあさん(オモニ)の唄」。心に染み入る。
・2003年大阪。ヨンヒは、拉致した日本人を「帰さなあかん」と、父の前で北朝鮮を批判し、父の考えを追及する。
・クラッシック音楽が好きだった兄(長男)は、躁鬱病を患い、ピアノを習う息子に夢を託すが、2009年7月死亡する。
・ヤン・ヨンヒは、1作目「ディア・ピョンヤン」が原因で、2008年、北朝鮮政府から入国禁止を言い渡される。
そのため、2005年の訪朝を最後に兄たち家族に会えなくなる。
・電気や水道、ガスの使用時間が制限される北朝鮮…
ラストはソナの声
「私に何か言わせて。ただいま停電中、分かりますか?日本に帰ってもわが家の停電を忘れないでください。停電中のこの家はとてもカッコいいです。おお 停電だ。栄えある停電であります。」

ヤン・ヨンヒ監督の作品は、私たち日本人にはどれも必見です。
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