あしからず

誰も知らないのあしからずのレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
4.3
知らないのか知らないふりなのか、知ろうとしないのか知りたくないのか。子どもだけの小さな世界を破壊する大人は悪い意味でも良い意味でも不在で、これが現実かと思いきや現実はもっと最悪だからどうしようもない。とにかく社会性と映画性のバランスが見事。特に剥げたマニキュアや汚れた靴、ちびたクレヨンなど時間経過の表現がうまく、荒れていく部屋の匂いがこちらにも漂ってくるよう。マニキュアを塗ってもらった手、窓にかけられた小さな手、万引きの時の汗ばむ手、冷たくなった手、汚れた手など手の映画でもあり、全ての手は愛を待っていた。捨てられた花を救済して水をやり、カップ麺の植木鉢の中ですくすく育つ緑と、親の愛を注がれず痩せ細っていく子ども達。落ちた植木鉢もだが猫を挟むのが1番ドキッとした。
最後の劇中歌は正直不要だと思うけどあの曲の歌手=コンビニ店員さんだったのか。
大津の事件で本作を思い出したがすぐ再鑑賞する勇気が出ずやっと。世の中は未だ変わってないけれど、よく見て知ること、自分にも出来る事はきっとある。この映画が作られそれを観た意味も
あしからず

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