こつぶライダー

誰も知らないのこつぶライダーのレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
3.8
誰も知ろうとしない。

このような子たちが実社会にいる日本。
周囲の無知、我関せずな地域社会の崩壊こそが問題。

社会福祉が彼ら彼女らを救い助けるには限度があるわけで、そこに踏み込んでいける存在があればと思ってしまう。

カンヌで史上最年少で男優賞を受賞した柳楽優弥さん。彼とは学年こそ一つ違えど同い年だったから、とてつもなく刺激を受けた。

彼を中心とする物語は、母親の子ども置き去りから始まる。男にだらしのないシングルマザー。夫が出ていったからこうなってしまったと責任転嫁して、自分の幸せと言って男に逃げる。最低な母親だ。はじめは、子どもたちに優しく接しているごく普通の母親に見えるが、結局はすべきことすらせずに子どもたちから逃げた最低な母親としか見られない。

それでも子どもたちは健気である。
いつ母親が戻ってくるのか気にしながらの生活。もう戻ってこないと悟った長男が母親の洋服を売ろうとすると、長女が抵抗してくる。
お金に底を尽き、ライフラインが止められ、夏の暑さに精神までやられていく姿は直視出来なかった。

そして、物語は最悪の結末を迎える。

是枝裕和監督のお得意の余韻を残すラストもまた意地が悪い。この後どうなったのかは、観客の想像に委ねるのだ。
社会問題として扱われる児童福祉(ヤングケアラーetc.)について焦点を当て、推し進めていく作品の中に、何も希望なんて見つけられなかった。
私が思うに、もしかしたら自分はあの作品の中に登場していたのではないか?ということ。
あのコンビニのレジ打ちのお姉さんやお兄さんだったかもしれない。はたまた学校をサボっている女子高生かも。てか、大家は何してるの?
そういった大人や年長者がいながら、なぜ彼らの問題を大事として扱ってやれなかったのか。
ひとつ問題提起として良い映画だと思うが、もう二度と観ないと思います。
こつぶライダー

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