熱帯夜

誰も知らないの熱帯夜のレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
4.3
素敵な作品。好き。扱う題材から『子宮に沈める』とセットにされることもあるが、全くの別モノ。激しい心理描写はなく、彼らの生活は止まることなく淡々と続く。場面転換ごとに経過する時間が異なるが、会話や子どもの身なりの変化がそれとなく伝えてくれた。全体を通して人の悪意が見えない。彼らを知らない人々も、知っていても助けられない人たちも、母親でさえもこの映画では悪者ではない。事件の美化だと言う人もいると思うけれど、(これは『怪物』がクィアものという評価を受けていると知ったときにも思ったのだが)監督がこの映画をつくるにあたってそうした社会問題の啓蒙を目的としているようには思えない。社会、そして生活を描く中でその一面として浮かび上がったものであり、それはあくまで彼ら当事者にとっては日常なのである。
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