Avayette25

誰も知らないのAvayette25のネタバレレビュー・内容・結末

誰も知らない(2004年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

1988年に実際に起こった
東京都豊島区西巣鴨一丁目
“巣鴨子供置き去り事件”が題材。
母親が4人の子供を置き去りにし、
その全員の出生届けが
出されていなかった。

画面の端々に写る
未払いのガスや水道の請求書、
小さくなっていくクレヨン、
汚れていく部屋や服の様子。

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キャリーケースで引越しする子供達。
その様子は一見楽しそう。

大きい声で騒がない。
外に出ない。
世間にばれないように。

長い間家を空ける母親けい子。

貰った肉まんも弟にあげたり、
店員さなえにお願いして、
お年玉として兄弟達の名前を書いてもらう明。優しい。
(書き方や字が違うと分かる敏感な京子)

ついにベランダに出る茂。

本当はしたいレースゲームも
音真似で我慢する明。

明は荒んできて、
雄大や正之などと悪友になり
アパートはたむろの場となる。

未だ学校への憧れ。

家にはゴミが溜まり
生ゴミの臭いで充満。

外に出る事は出来るが、
何処か子宮に沈めると似た空気感。
少しずつ生活が腐っていく。

アルバイトしようとするが
16歳からしか始められない明。

夢のピアノの為のお金も差し出す京子。
兄弟への責任感。

ついに皆で外に出掛ける。
もう季節は春。

みんなで種を植える。

大家の妻が訪問する。
明らかに様子のおかしい部屋を前に
子供の言い訳を聞き入れる。
責任感の無い大人。

パパ活でお金を作る紗希
に嫌気がさす明。

紙を食べる茂。

コンビニより
スーパーが安いという認識も無いのか。

お湯もないので
コンビニから家までカップ麺を運ぶ。

好奇心から
近所の子たちと遊ぶ茂。
明に頼んでおいた蕎麦の事も置いて。
両方の気持ちも分かる。

トイレのタイミングを
都合に合わせないゆき。
勝手に水を使う茂。

どうせ帰ってこないんだからと
けい子の服を売りに行こうとする明。
止める京子。

変わっていく兄を見る、
ゆき達の眼差しが切ない。

万引きまでには加担できず
友人達と疎遠になる明。

ゆきの重体で助けを求め
けい子に電話しようとするが
公衆電話の料金も足りず不通に。

薬を万引きし走る明。
甲斐無く息絶えるゆき。

ゆきを弔いまた日常へ。

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母親を信じていた子供達の
踏みにじられた気持ち。

また周囲の大人達の責任感の無さ。

例えば
小学6年生と紹介されている明が
全く登校している素振りが無い事にも
気付かない(関与しようとしない?)大家。

様子のおかしい明達を前に
(明が拒否しているとはいえ)
何かしらの手段で
支援の手に繋がないコンビニ店長達。

お金を無心しに行っても小遣い程度で、
それ以上の関与はしようとしない
それぞれの父親達。

実際の事件では、
三女(当時2歳)が泣き止まないことに
怒った長男の遊び友達らが、
押入れの上から何度も
三女の上に飛び降りるなどの
暴行を続け三女死亡。
言葉が出ない。

子供達は生まれる場所を選べない。
この事件では生まれている事すら
他人には認知されず。

こういった悲劇を繰り返さぬよう、
行政の手がどうにか届く
仕組み作りになってほしい。
例えば学校と連携して、
周囲に異変のある子供達を見かけなかったか
保護者や生徒達に
定期的にアンケートを取るなど。
出来ることは幾らでもありそう。

その他にも
近所や周囲の人々で
積極的にサポートしようとする
倫理観・体制作り。
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