カフェインと猫

誰も知らないのカフェインと猫のレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
4.2
「巣鴨子供置き去り事件」

とても、とても辛くなる話。
この映画は「実際の事件を元に制作したフィクション」なんだけれども、巣鴨の事件はノンフィクションな訳で、ほんとに辛くなる。

この映画が全くの創作話であれば良かったのに。
とつくづく思う。
子供達が傷つく話は辛くて仕方がない。
映画を観終わったとき、出演している子役達の事をネットで調べまくってリアルでは幸せな事を知りたくなる。
平山夢明の原作映画『無垢の祈り』を観終わった時も同じ事をしていた。


この事件の現場は僕の家から歩いて行ける場所にある。
あのアパートを何度となく横目に歩き「あぁ、これがあの場所なのか…」とその度に辛くなる。
そう。ただ辛くなるだけ。
辛くなったとて、何かができるわけでもなく「あぁ、あそこであの事件が起きたのか」と心に闇が刺すだけ。

映画のレビューを書こうにも、リアルのあの場所がすぐそこにありすぎて、現実と非現実が交わりすぎて、まともなレビューできないけれど、この事件を映画にした是枝監督はすごいと思うし、こういう事件は可能な限り少なくなってほしい。

心の中を一度マイナスにしてリセット、それからプラスに持って行く時に観る「マイナス」映画の一つとさせてもらってます。