東京商事総務課長の花岡は12月に定年を迎える。社宅住まいで妻と出戻りの娘、浪人中の息子がいる。電車で同じ会社の谷岡と定年のことを話し、会社に着き部下の西山に目を奪われる。社内で花岡の送別会の話題が出るが、誰も乗り気じゃ無かった。
▶︎クレイジーキャッツのハナ肇を主演に脱退した石橋エータローの写真出演含め植木等、谷啓、犬塚弘、安田紳、桜井センリと全メンバーが出演している。
花岡をメインにサラリーマンの等身大をセリフ量が少ない中で悲哀がたっぷりと描かれていて、市川準らしくどこかMVっぽい仕立てになっている。
クレイジーキャッツの本来の姿はジャズバンドだと改めて知らしめる作品にもなっていて、メンバーが2トラ38を聴きながらジャズ談義をするシーンでは前のめりに食い入った。それも寺でとはまんま植木等の実家じゃないかと微笑んだ。
演奏は控えめではあったがしっかりソロも聴かせてくれている。
ただそんな思い入れを抜きにして映画としてだけで観ると物足りなさを感じるのが正直なところで、木野花、ジャイアント馬場、イッセー尾形、岡本太郎などを含めたキャスティングが堪能出来ただけの感が強い。
昭和最後の社会の空気とクレイジーキャッツの演技と演奏が楽しめた作品。
