Morohashi

気狂いピエロのMorohashiのレビュー・感想・評価

気狂いピエロ(1965年製作の映画)
4.5
基本的に難解な映画。
これだけ難解なのに、どうしても先が見たくなる不思議。

何かをすごく考えているふうでいて、実は何も考えていないのかもしれない。

一応、全体を通じたストーリーはあるので、それについていくことは難しくはないが、演出が多様にあって、その解釈が難しい。
ちぐはぐで難解だからこそ、分かりたくなる。知りたくなる。こういうのがゴダールの魅力なのかもしれない。
そして不意に「わかった!」みたいな気持ちになることがある。でも見続けていると「あれ、やっぱ違うかも」となる。
こういう気持ちの動きそのものが、男女の恋愛の駆け引きを疑似体験しているみたい。


マリアンヌが手記の中で述べているのが、フェルディナンの中にある極端なまでの双極性。

普通だけど異常。
愛してるけど嫌悪感。

個人の中にそもそも備わっている、両極端の性質を言葉にしたもので、人間はもしかしたらこういう狂気の中でバランスを取っているのかもしれない。

そしてやはり、他の作品に影響を与えていると言われる所以が多々。
オープニングはバードマンのとよく似ているし、浜辺で踊るカラフルな服を着た人々や、下手なミュージカルはラ・ラ・ランドにも通ずるような演出。(いや、決してラ・ラ・ランドのミュージカルが下手って意味ではなくって、こういうシーンあったな~ってこと)
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