イホウジン

気狂いピエロのイホウジンのレビュー・感想・評価

気狂いピエロ(1965年製作の映画)
3.7
全体に湧き出るアンチ・ハリウッドの熱

ジャンルこそ恋愛映画だが、それはハリウッド的な“ラブロマンス”とは一線を画すものである。ロマンチックなのは南仏の風景の撮り方だけで、主人公の恋愛は極めて単調だし正直観ていて飽きる。このダルさが意図的なものなのであれば、それはロマンチックで壮大なアメリカの恋愛映画への反旗と解釈できる。ハリウッドの空気から完全に決別した映画として考えれば、色々と面白い。
原色美の映像の数々は見事である。終盤に「時計じかけのオレンジ」のような一点透視図法が登場した時には少しドキッとした。

ただあまりにも先が見えなくて中盤から凄まじい疲労に襲われてしまった。正直なところ体感時間が「クーリンチェ少年殺人事件」と大差ない。もしかしたら私は恋愛が主題の映画自体が苦手なのかもしれない。
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