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許されざる者のyawaraのレビュー・感想・評価

許されざる者(1992年製作の映画)
4.0
隠居したひとりのアウトローの生き様を、賞金稼ぎの遠征を通して描き出す。

静けさを湛えたいぶし銀の作りが最高に男臭い。あらゆる描写にリアリティが溢れており、自分が生きている世界との地続き感がある。またキャラクター各々に人間味があり、これにもシンパシーを覚えた。とはいえ、まずもって共感できないような人物は世の中に必ずいるものである。酒場総出でよそ者を痛めつける保安官がこの役割を十二分に発揮している。集団は力を持ち、その中で誰かが権威を持つ。権威を持つ人物は時として暴走する。社会の縮図とも云える世界観が心を惹きつける。

マニーも過去においては保安官に負けず劣らず悪であったかもしれないが、ひとつの出会いは確実に彼を変えている。家族や仲間を大切に思う様子や、全幅の信頼で賞金を預ける様子から見て取れる。そんな彼が保安官に対して持った感情はいかばかりか。二人の分水嶺は過去への贖罪の有無であるような気がしてならない。
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