ヤスマサ

許されざる者のヤスマサのレビュー・感想・評価

許されざる者(1992年製作の映画)
3.9
かつての悪名高きウィリアム・マニー(クリント・イーストウッド)が、賞金稼ぎを持ちかけてきたキッドと、かつての相棒ネッド・ローガン(モーガン・フリーマン)と共に、賞金首の牧童を殺しに行く話し。
向かった町では、治安維持を大義に、保安官リトル・ビル(ジーン・ハックマン)が牛耳っている。

西部劇によくある勧善懲悪物とは、少々趣きが異なるように感じる。
「許されざる者」とは、一見、保安官のビルのようにも思う。
マニーが去り際に言ったように、ネッドを死に至らしめ見せしめにしたことと、娼婦たちへのぞんざいな扱いに対する復讐劇だからだ。
しかし、そもそもマニーもネッドも昔は無法者だったし、治安を守るために武装解除を敷いていた街へ、それを無視して入ってきたのは彼らだ。
映画では、開拓時代当時の無法状態をリアルに表現したのだろうが、そこにある秩序は暴力だ。
娼婦たちが賞金首をかけたのも、暴力を呼んだことになる。
正義は、モノの見方、見る方向によって異なるが、いかに大義があろうとも、そこに暴力が介在すれば、当事者は皆「許されざる者」になるのだ。
正義を貫くには暴力が必要だった時代の話だが、今の時代に正義とは何か、を問いかけているように感じる。
ヤスマサ

ヤスマサ