このレビューはネタバレを含みます
クリント・イーストウッド監督による、
勧善懲悪的な西部劇ではなく、
虚飾を剥いだ暴力の連鎖としての西部劇。
町の正義を守るために抑圧的な体制を築く保安官や、
子供を養うために人殺しに手を染める主人公など、
善と悪の境界は非常に曖昧である。
過去の西部劇=美化されたアメリカ社会を解体して、
自国の歴史の過去を振り返り、
現代のアメリカ社会の抱える問題を描く作品。
陰惨で重厚だが、社会にメッセージを投げかける批評性の高い作品だった。
保安官がDIYで建てる家が雨漏りだらけ=ビルが作る社会の歪み
という比喩が印象的。