三四郎

忘れえぬ慕情の三四郎のレビュー・感想・評価

忘れえぬ慕情(1956年製作の映画)
3.5
冒頭の松竹の富士山ロゴが出てきてクレジットが流れ、ジャン・マレーや岸惠子が登場してもなんとも思わなかったが、ダニエル・ダリューが登場して思わず出た言葉「凄いよなぁ」
何が凄いって、フランスの、いや世界的大スター、ダニエル・ダリューを呼んで撮っちゃったんだから…、円熟期にあるこの女優を…。
どんだけ当時の松竹にお金があったことやら、そしてこの企画を立てたこと自体凄すぎる。
空前絶後の大ヒット作『君の名は』のおかげかしら。

ダニエル・ダリューが日本語を話したり、日本文化に触れるシーンを観ては、「ホント凄いよなぁ」と、彼女の演技よりもこの映画を実現した当時の松竹に毎度毎度感嘆してしまった笑
いやぁ、本当に凄い…それしか言えない。
きっと松竹の重役連には、戦前からの筋金入りのダニエル・ダリューファンが多かったのだろう…な〜んて想像してしまった笑

内容は松竹大船調メロドラマとフランスのメロドラマが合体した感じで、ものすごく良いわけでもないが決して悪くはない。
なんというか、やはりフランス人はフランス映画の中で観た方が良い。なんとなく日本の風景に欧米人を入れると浮いてしまう。

岸惠子が届けに来た着物の風呂敷をダニエル・ダリューがポンッと投げて机に置くシーン。日本人ならいくら恋仇だとしても、貰い物をそんな扱い方はしない気がした笑
「フランス人は移り気で国粋主義よ」と言ってのけるダニエル・ダリューに、岸惠子の反撃「『愛と偶然の戯れ』著者はフランス人でしたね?日本の人形はそんな戯れできないわ!お二人でお楽しみを!」なんだか思わず岸惠子を日本人代表として応援したくなった笑
人前でのスキンシップを良しとしない日本人とスキンシップがなければ物足りなさを覚えるフランス人というのが全編にわたって描かれていたように思う。やっぱりフランスの恋愛観は理解できないね。

長崎が舞台だが、大阪、宮島(広島)のシーンもあり、ダニエル・ダリューは宮島にも来たのかと、広島人からすると嬉しかった。そういや、マリリン・モンローも来たんだよなぁ。
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