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忘れえぬ慕情の3104のレビュー・感想・評価

忘れえぬ慕情(1956年製作の映画)
3.3
戦後ほどない長崎を舞台にした日仏合作映画。

フランス人の目に映る(当時の)長崎の街はいかなるものだったのか。日本人の目から見ても異国情緒が感じられる描き方。慕情というより旅情を感ぜずにはいられない。そして日仏混合キャストのせいか、ときに邦画のようでときに外国映画のような肌触り。
監督のイヴ・シャンピと主演の岸恵子はこの作品がきっかけで翌年結婚。岸は劇中でもフランス語を披露しているが、撮影以前から話すことができたのだろうか?いずれにせよ役柄とも相まって「才女」な雰囲気がきちんと出ている。

ストーリーはシンプル。仕事で長崎にやって来たフランス人技師が地元の女性と恋に落ちるが、かつて恋仲だった女性が日本訪問にかこつけて長崎にやって来て・・という言ってみればありがちなメロドラマ仕立て。この三角関係ではジャン“ゴールドフィンガー”マレー演じる仏人技師マルサックの優柔不断さ、ロクデナシさが悪い意味で目立つ。

3人の想いと関係をことさらかき回すかのように、ラスト数十分は長崎を襲った巨大台風の描写が続く。なんでもそれ相応の予算を掛けた気合の撮影らしく、なるほど迫力は感じるがいかんせんシーン全体が長い。まだ続くのかと思っているところに突然の幕切れ。最後、いや最期はどこかあっけない。

未DVD化。
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