極黒の女子中学生

忘れえぬ慕情の極黒の女子中学生のレビュー・感想・評価

忘れえぬ慕情(1956年製作の映画)
4.3
前半は奥ゆかしい日本人女性と大胆かつユーモアな元恋人のフランス人の間で揺れる男のラブロマンスが繰り広げられ、後半では台風に飛ばされる看板や瓦、津波に飲まれる長崎港、倒壊する日本家屋のセットなど大スペクタクルな特撮が繰り広げられていた。

作中、主演のジャン・マレーと岸恵子は一度もキスをしておらず(イチャつくシーンはあったが)日本人女性のしとやかさを描き、対する元恋人役のダニエル・ダリューはスキンシップの激しく活発で極端に対照的であった。物語も単純で理解しやすくなっている。

そして仏題『Typhon sur Nagasaki』が表すように、最大の見所である災害シーン。予算が当時の日本映画では珍しい多大な額だったらしいが、7割くらい特撮に割いているのではないかと勘ぐってしまうほどの圧倒的な出来栄えだった。
看板や瓦が飛んでくるなか街を走る人々に、思わず固唾を呑んでしまう。

そして当時の長崎、大阪、広島(厳島神社)、伝統文化などを見ることができるので、外国人だけでなく日本人も50年代の世相を学べる貴重な映画だった。