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悪魔が来りて笛を吹くのShoMのレビュー・感想・評価

悪魔が来りて笛を吹く(1979年製作の映画)
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石坂浩二の“天使”な金田一に対して、西田敏行の金田一は人間味あふれる造形に。野上龍雄のまさかのメイントリックを省略し欲望と愛憎を強調した脚本を、斎藤光正が若干才気走り過ぎなきらいもある映像に。OPタイトルから度肝を抜かれたが、最後まで見ると意味がわかる。

ドラマ版の檀ふみの椿美禰子は(火宅の人だったからか)、あまり事態にも動じず独立心のある造形。一方、本作の斉藤とも子の美禰子は須磨に同行するなど、歪んだ“家”からの解放を願うヒロインとしてしっかり位置付けされている。

他キャストも鰐淵晴子、仲谷昇、石濱朗とドラマ版より貴族に見える面々。特に鰐淵晴子の椿秌子は浮世離れした存在感、頭の弱さ、淫靡さ、どれをとってもベストなキャスティング。小沢栄太郎はメーキャップも演技もやりすぎな気が……。空気を読んでいなさそうで以外と読んでいる池波志乃の菊江も良い。

テーマ曲「黄金のフルート」を「悪魔が来りて笛を吹く」として使用しているが、その音色は美しいが原作の意図を汲んだメロディにはどうしても思えない。
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