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股旅のleylaのレビュー・感想・評価

股旅(1973年製作の映画)
3.8
谷川俊太郎が脚本ということで観たかった。市川崑監督によるATG作品。
斬新だけど、ひょっとしたらこの時代のリアリティはこっちが近いのかもしれない。

オープニングの和太鼓の音からワクワク感。
渡世人を目指した3人が、渡世人の掟を律儀に守りながら、自分たちを雇ってくれる親分を探して旅を続ける。

縄張り争いに巻き込まれたり、失踪した父と再会したり、道連れの女性と出会ったり…。

渡世人の掟がなかなか面白かった。
一宿一飯の恩義を受けたらば、その一家のために命をかけねばならない。
仁義を切って手拭いをわたす。
ご飯は2膳食べねばならない。
など、渡世人をやるのもいろいろ大変なのだ。

ボロボロの三度笠と道中合羽に身を包む3人、小倉一郎、尾藤イサオ、萩原健一が、愚かで情けなくてダサいけど愛らしい。
カッコ悪い殺陣や長々と語る仁義が見応えありました。

義理人情に縛られるチンピラな若者たちの悲哀。貧しさは貧しさを生むのだなぁ。

ススキが風になびく山あいの道、雪景色、夕景など股旅姿の3人を遠景で捉えたカットが素晴らしかった。
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