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ウェイキング・ライフのやのレビュー・感想・評価

ウェイキング・ライフ(2001年製作の映画)
4.0
夢から醒めてもまた次の夢、また醒めても次の夢、という風に、夢から夢へと渡り歩く主人公。彼は夢の中で、時間と夢、死生観など、哲学的、宗教的な話をする人物に次々と出会うことになる。夢の中に閉じ込められたと焦る主人公だったが、「人生は夢である」というカルデロンの引用があったことからも、この作品においては彼が夢だと思っていた空間こそが現実だったのではないのかなと思った。それに、自分以外の他者と関わりを持つことは、自分以外の世界を知るという意味で異次元に入ることであるとも言えるだろうし、それが死生観などの最もその人間の深い部分、核を知るというのであれば尚更そうだろう。そういう意味で、夢から夢へと渡り歩くことは次から次へと人と出会うこととイコールで結べるだろうし、やはり彼が夢だと思っていた世界は現実だったのだ。しかし、最後に彼は夢から醒めて空へと吸い込まれる。あれは死を象徴しているのだろう。
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