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鉄路の闘いのたくのレビュー・感想・評価

鉄路の闘い(1945年製作の映画)
3.6
第二次世界大戦下のフランスで、ドイツ軍にレジスタンス運動で抵抗するフランスの鉄道労働者を描くルネ・クレマン監督の長編デビュー作。調べると出演者の多くが実際の鉄道労働者とのことで、唯一ナレーションだけが名優のシャルル・ボワイエ。ドキュメンタリー風の硬派な作りで、第1回カンヌ国際映画祭の国際審査員賞受賞作。

1944年のフランスで、鉄道労働者によるレジスタンスが組織され、ドイツ軍の物資輸送を妨害して戦力を削ぐ作戦が敢行される。このレジスタンスの首謀者たちが捕らえられて一人ずつ銃殺されるシーンで、壁を這う虫が一瞬映るのが怖かった。後半で蛍が出てくるシーンもあって、それを捕まえようとする男が「西部戦線異状なし」みたく撃たれたらどうしようとハラハラしたね。粘り強く続けられるフランス側の抵抗運動がだんだんエスカレートしていき、終盤の脱線でピークを迎えるところはものすごい迫力だった。このシーンで脱線した鉄道からアコーディオンが音を立てながら転がり落ちる演出が秀逸。

ルネ・クレマンはこのあと「禁じられた遊び」(1952年)で再び戦時下のフランスを描くことになる。彼は本作の前に「左側に気をつけろ」(1936年)っていう短編コメディを監督してて、自分が一番好きなゴダール作品である「右側に気をつけろ」がこれにオマージュを捧げたんだね。
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