てる

マイケル・ジャクソン THIS IS ITのてるのレビュー・感想・評価

3.6

ようやく観たんだね。って色々な人に言われそう。

この作品の公開時、私は大学生だった。その時の私のマイケル・ジャクソンのイメージは悪かった。
ネバーランド、ショタコンの変態、お騒がせセレブ、黒人から白人へ、凸凹の気持ち悪い顔等々
聞いたことのある曲はいっぱいあったし、彼がすごいアーティストだということは認知していたが、それ以上に悪目立ちしすぎていた。
死因もよくわかっていなかったし、私としては、興味の範囲外であった。

ただ、その当時の同級生には彼を変人として扱うのではなく、アーティストとして憧れている者もいた。そういえばSMAPのメンバーがマイケルに憧れていたね。
実際に私の認知とは相反して、この作品は大ヒットしていた。私の周りでも多くの人が劇場に足を運んでいた。
私はそれでも興味が湧かず、いつか観よぉと思いながら10年余りの月日が経った。

私が驚いているのは、上映からそれだけの月日が経っているのにも関わらず、常にこの作品がどこかにあって、目に止まることだ。例えば、レンタルショップ。TSUTAYAに行ってもGEOに行っても必ず目に止まるところにある。今回観たのはNetflixだったが、ネット配信の媒体でも常にこの作品は流れていたように感じる。
それは、常に人気が保たれていた証拠だ。
私としては、それを観る度にいつか観ようを先延ばしにしているのをまざまざと突き付けられているようで、良い気持ちはしていなかったけど。

多感な10代20代を通りすぎ、30代も半ばに差し掛かった私は、最早あのときのマイケルに対する嫌悪感もだいぶ薄らぎ、まっさらな気持ちで観ることが出来た。
マイケル・ジャクソンってカッコいい。
この人はエンターテイナーなんだと思わされた。

ダンスのキレがカッコいいし、彼が表現したいことも伝わってくるのである。ムーンウォークとか45度前傾ダンスとか、当時は変なダンスだなぁくらいにしか思っていなかった。確かに今見ても変なダンスであることには変わらないが、それが斬新で、遊び心に富んだものだとわかると、魅力的に見えてきた。しかも、それがカッコいいと思えてくるから不思議なのだ。
それは確かに面白い。なるほど、それは面白い。このリハーサルを観ていると、その連続で、これはすごいショーが出来上がることが容易に想像できる。

このショーが完成し、ファンの目に届いてないことが悔しい。
だからこそ、この作品を何度も観てしまうのかもしれない。生前にこのコンサートが行われていたなら、こんなにも多くの人の目に触れる作品になっていなかったかもしれない。
ただ、もったいないなぁとも思う。しかし、その一方で、この作品が遺言のように見えてくるのも不思議だ。
この作品のタイトルはこれで最後だという意味があるそうで、それを予期していたように感じてならない。
死の直前までファンを魅了する彼はキングオブポップに相応しい存在であった。
いやいや、死してなおというべきだね。

たまにはドキュメンタリーも観るもんだねぇ。
てる

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